はじまりは代々木公園のそばにある、古い一軒家だった。つるりとした樹脂素材をできるだけ使わず、べんりな既製品にいたずらにおもねらず、当たり前に普通に手に入る材を使い、ていねいに手づくりした。
そこにはおいしいコーヒーやアイスクリームがあり、聴き心地のいい音楽があり、えもいわれぬ香りのするプロダクトやインテリアピースがあり、何よりうるおいに満ちた自然がある。そんな刺激と憩いをいざなう場として、だんだんと人々の知られるところとなった。
そして、前に植えたミモザの木が2階を覆うほど高く成長した頃、PARKERは新天地を求め、移転することになった。
新たなる街は新宿。およそ120年前、皇室庭園として誕生した新宿御苑のすぐそばにある、ビルの角の1階だった。
穴場だと思った。猥雑と喧騒にあふれる駅周辺のエリアから、10分も歩かぬまたたくまに、かのごとく深い自然に富むエリアがあるということを、人は意外と知らない。
この立地ならば、街と公園をつなげる場、本当の意味でのPARKERに、もしかするとなれるのかもしれない。そう思った。
外から見た時この空間は、自然とまわりの景色の一部となり、この街に対しての視覚的な影響を与える。
また人が集まる場には、自然と人が引き寄せられることから、外から窓を見た時に、中の人の動きが感じられるようにすることで、さらなる人の流れを作り出す。
視覚的に、直接的に、外への印象をもたらす窓。
人の流れを自然にいざなう、きっかけにもなる窓。
この窓を生かしたレイアウトを考えることにした。
人々のにぎわいも、一日のうつろいも、季節のうつろいも感じる空間。やりすぎず、どこ風でも何風でもなく、手に届くようなインテリアだけれど、そのバランスでどこかセンスを感じるような。
ここでふだんはカフェやギャラリーショップとして機能し、さまざまなイベントやPOPUPを行った。
そうしてオープンして1年半が経った頃。さらによい空間に向けてブラッシュアップするため、リニューアルを行うことにした。
入ってすぐ、もとカフェだったところはPOPUPのスペースとし、つねに新しい何かが行われていることがわかるよう、窓際にも商品を並べ、外に向けて発信することにした。
またキッチンまわりのカウンターには商品を並べたり、スタンディング席として活用したり、その場に応じて変えられるようにした。
家具も、店も、家も、街も人も、
時を経て変わりゆくことを楽しんでいる。
そのきっかけをつくりたい。
PARKER SHINJUKUの第2章がはじまる。